Taro's Working Father Lab.

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(0-7歳) Incredible Years シリーズ: 質問するな、実況中継せよ (ペアレントトレーニング 第4回)



ご無沙汰ですが、再びIncredible Years シリーズです。今回は下から2段目の「教える」というところにフォーカスしたトピックです。Incredible Yearsは、「子供の学業・社会性・感情面で小学校やその先の集団・社会での生活への準備を整える」ことを目的の一つとしています。

今回はそれの準備を手助けする「教える」行為の中でも「細かく状況を言葉にしてあげる (元の英語は Descriptive Commenting)についてです。

 

興味を持って質問する事は必ずしも子どもはポジティブに感じない

大人同士の会話であれば、「今日何してたの?」や「今それ何してるの?」という質問は、興味を持っているというサインでもあり、コミュニケーションをしていく上で非常に有効なものです。ただ、子どもとのコミュニケーションにおいては、特に、子どもに色々な物事を教えてあげよう、という意図での質問は、逆効果になるようです。

 

例えば、「それはなんて言う魚?」「ここにケーキ何個ある?」「この子はこの後何するのかな?」といったものです。こういった質問は、プロセスよりも結果に焦点を当てた質問で、子どもにとっては、テストされていると感じたり、指図されていると感じたりします。そのため、子どもが集中して遊んでいたり、子どもとのスペシャルタイムを過ごしているときに、このような質問を色々と行うことは、良かれと思ってやっていても、結果的には子どもの発達にはプラスになりません。

 

むしろ、細かく状況を言葉にしてあげる 、実況中継してあげることが、
言葉や概念の発達にも精神的な発達にも有効。

子どもが何か遊んでいたりした時には、上記のような質問の代わりに、色々と子どもがやっていることを実況中継してあげることが有効です。そうすることで、この先学校で学習することや、他の子どもとのコミュニケーションで必要になる重要な概念や言葉をより効果的に習得できるようです。

 

また、概念や言葉だけでなく、忍耐強く何かに取り組む能力や他の人の話をきいたりする能力を伸ばすのにも、この細かくそういった振る舞いをした際にコメントしてあげることが効果的なようです。コメントしてあげることで、子ども自身が「今自分は(例えば)一回では出来なかった事を何回か試しているんだ、そしてそれは良い事なんだ」と自分が今行っていることを客観的に理解できるからです。(そして、最後にもう一度、結果ではなく、頑張ったプロセスを褒めてあげます)

 

質問をあれこれしたくなる気持ちをぐっと抑えて、実況中継のような形でその子がやっていることをコメントしてあげましょう。

 

実際の「細かく状況を言葉にしてあげる」例

下記に具体的にどういうパターンでこのテクニックを使えるか、羅列しておきます。

  • :「お、車もって何やっているの?」ではなく、「あ、XX君、赤い車と黄色いトラックをもっているね」
  • :「何頭、恐竜がいるかな?」ではなく「お、そこには1、2、3頭恐竜が横に並んでいるね」
  • :「そのレゴはどのレゴにはまるかな?」ではなく「四角いレゴがその丸いレゴにはまったね」
  • サイズ:「その電車とその新幹線、どっちが長い?」ではなく「その新幹線は、その電車よりもっと長いね」
  • 位置関係:「その青いブロックの上にあるのは何かな?」ではなく「青いブロックの上に黄色い四角いブロックがのってるね」

 

  • 頑張る・集中する:「そのパズルを完成させようと、そのピーズがどこにはまるのかすごく頑張って集中して考えているね」
  • 辛抱強さ:「今すごく辛抱強く、そのピースがどこにあてはまるか、いろんな方法を試しているね」
  • 冷静さ:「今すごく落ち着いて、もう一度うまくいくかやっているね」
  • 問題解決:「その形にするにはどうすればよいか一生懸命考えて、解決策を思いついたね!」
  • 大人の指示に従う:「今、パパのお願いした通りに手伝ってくれてるね、ありがとう!」
  • 話を聞く:「今パパの目を見て、ちゃんと最後までお話し聞いていたね」
  • 一人でやりきる:「今、パジャマから学校にいく服に全部自分で着替えたね!」

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まとめ:

  • 興味を持って質問する事は必ずしも子どもはポジティブに感じない
  • むしろ、細かく状況を言葉にしてあげる 、実況中継してあげることが、
    言葉や概念の発達にも精神的な発達にも有効。