Taro's Working Father Lab.

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(0-7歳) Incredible Years シリーズ: ご褒美?それともワイロ? (ペアレントトレーニング 第5回)

ご無沙汰しております。第5回。Incredible Yearsのコンセプトを表すParenting Pyramid(ペアレンティングピラミッド)の下から2段目にある「ご褒美/ Rewards」というのを今回みていきたいと思います。

ご褒美?それとも賄賂(ワイロ)?

このペアレントレーニングのコースの中で印象に残っているフレーズの一つが、「それはご褒美?それともワイロ?」というものです。
 
子どもが望ましい・好ましい行動をして、習慣化させるために、何かおやつをあげたり、何か買ってあげたり、というのは親の誰もが経験したことがあるのではないでしょうか?このような行為が、場合によっては「ご褒美」になり、場合によっては「ワイロ」になるのです。
 
言葉の響きの通り、「ご褒美」は親の行為として推奨されるもの、「ワイロ」は推奨されないものとなります。この「ご褒美」を積極的・上手く用いて、なるべく「ワイロ」を与えないようにします。
 

「ご褒美」は好ましい行動を促進する、
「ワイロ」は好ましくない行動を場当たり的に止めさせるが、本質的には好ましくない行動を助長する

 
ご褒美は、子どもが好ましい行動を促すために何かしらの子どもの望むものを与えたりすることを指します。一方、ワイロは、子どもの「好ましくない行動を止めるために」与えます。
例えば、子どもが遊んでいる時に、「あと5分遊んだら片付けましょうね。片付けたらおやつをあげるね」と言って、子どもが片付けを行い、おやつをあげます。これは「遊んだ後は片付けをする」という好ましい行動を促し、実際にそれができたことを褒める意味で「ご褒美」となります。
 
一方、子どもが遊んでいて、「片付けなさい」と何度も言っているのに片付けなかった時に、「おやつあげるからちゃんと片付けなさい」と、実際に片付ける「前」におやつをあげた場合、これは「片付けないで散らかす」というのを止めるためにおやつをあげており、ワイロにあたります。
 
何故、後者のワイロが悪いのか?子どもの中では「遊んで散らかして、なかなか片付けないとおやつがもらえる」という解釈になるからです。こうなると「また片付けないで散らかしていると、おやつがもらえるのかな」と考えるようになり、むしろ、より片付けない方向にインセンティブが働いてしまうのです。
 
また、子どもの感じ方に注目すると、ご褒美は「好ましい行動を達成して、何か得た」という小さいながらも達成感や良いことをしたという思いや誇らしさが生まれます。一方で、ワイロの方は、「自分の欲しいものを親から手に入れた、親をコントロールしたぞ」というような感覚になるようです。もちろん、前者のような感覚をより育んでいきたいので、そういう意味でもこのワイロをなるべく避けることが重要です。
 

とにかく、好ましい行動の「後」に子どもの望みを叶えてあげるようにする。そして何より、モノだけでなく褒める言葉がけがなにより大事

ご褒美とワイロの違いはわかりました。ただ、あらゆる場面で、子どもが好ましくない行動を起こす前に先回りしてご褒美をあげるようにするのは不可能です。どうしても、子どもがダダをこねたり、好ましくない行動をしてしまうことはあります。その時にも、個人的に「せめて」と思って気を付けているのが、決して好ましくない行動を改める「前」には、何か子どもの欲しいものをあげないようにして、行動を改めた「後」に何かあげるようにしています。そうする事で、なるべく「ややこしいことを起こせば何かもらえる」という考えではなく「好ましい行動を起こせば何かもらえる」という考えに傾いていって欲しいと考えています。
 
また、もちろん、子どもが好ましい行動を起こせば、おやつや動画を見せてあげるといった物質的なご褒美だけでなく、それを思いっきり褒めることが重要です。そうすることで、達成感や誇らしさをより感じるようにして、その好ましい行動の定着をはかるのと、自己肯定感を高めることを狙います。 褒める言葉などは、前回紹介した「Descriptive commenting」と共通するようになるべく具体的に褒めることが重要です。
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まとめ
  • 子どもの行動を促す際に何か欲しいものをあげる場合、「ご褒美」と「ワイロ」という2種類が存在
  • 「ご褒美」は好ましい行動を促進する、「ワイロ」は好ましくない行動を場当たり的に止めさせるが、本質的には好ましくない行動を助長する
  • とにかく、好ましい行動の「後」に子どもの望みを叶えてあげるようにする。そして何より、モノだけでなく褒める言葉がけがなにより大事